型抜きチョコレート(ボンボンショコラ)の失敗しない作り方

型抜きチョコレートを作るときは「テンパリング」という作業が必要、ってのは耳タコでしょう…
湯煎でチョコを溶かしたら→27度に下げて→29度に上げて、っていうワケわかんない作業をしないと表面が艶っつやなチョコができないどころか、型から外れない大惨事に見舞われる…
大枚叩いてGETしたクーベルチョコが型から出てこないときの絶望感… チョコって高いからね。辛いのよ、最後の最後にしか解らない失敗するって。
シリコン型があれば大丈夫?
じゃぁ。シリコン型で無理矢理ぬけばイイんじゃない? って思うでしょ?
でもシリコンって、時間がたつとベタベタして不衛生だから苦手なの(焼く行程が入ればまだイイけど)… って、私の感情的な理由はともかく。
テンパリングに失敗してるチョコって「手の上で簡単に溶けてベトつく」「時間がたつとカビみたいな白い粉が沸いてくる」←この白い粉はブルーミングっていう失敗で…
もし。自分の手から離れたチョコがそんな状態になってるかと考えただけで、胸が痛い。
プラスチックのチョコレート型で抜けない=テンパリング失敗って解るのも、シリコンを使わない理由の1つ…
だからシリコン型は売れるって知ってても断じて仕入れない。←NUT2decoのポリシーなんだ、これ。
テンパリングの基礎知識
そもそもテンパリングを成功すりゃイイじゃん、と思うじゃん? ということでテンパリング作業ポイントを少々…
まず、製菓用チョコレート(←クーベルチュールって奴)は300g以上用意する。少量だとね、温度が簡単に下がっちゃうのよ…
温度調整が重要なテンパリングは、少量のチョコだと失敗確率が上がるので多めに用意するのがベター(=少しだけ作るのには向いてない)。
室温調整、湿度調整もメッチャ大事。
室温は20度くらいをキープ。冬から春先なら気にしなくていいけど湿度は50%以下と言われてる。
私はチョコを仕事にしてた頃があるんだけど、湿度の高い日本でかなり苦戦したよ…
テンパリング不要のチョコ
テンパリングは面倒だけど、テンパリング不要のチョコというものがある。キャンディライターというんですが…
キャンディといっても飴のことではなく。単に「チョコレート」と呼べないだけ。
チョコレートと呼んでいいのは… 説明が面倒なので日本チョコレートココア協会のサイトでご確認を。
日本製チョコペンとは違う流動性
キャンディライターは日本でいうチョコペンと同じだけど、実は大きな違いが…
日本のチョコペンはタラーっと流れやすいのに対し、米国製キャンディライターはもったりとしていて、絵の具のような質感だということ。
この質感だから、型の側面に置いてもダラダラ流れていかず、ボンボンチョコレートを作ったり、デコレーションパーツが作りやすかったりするの。
電子レンジが使える
キャンディライターは冬なら最初は1分、夏なら30秒ごと、電子レンジから取り出してチューブを揉むだけ(大抵1〜3回程度で柔らかくなるよ)。
チューブ1本でコトが済む=ボウルやヘラに余計なチョコがつくと無駄が出るから、汚れないって大事。←洗い物が増えないのもGOOD!
揉むときは強くギューッってするとチューブの後ろから出ちゃうことがあるから、チカラを入れすぎないこと…
あと、冬は絞り出す先端にチョコが溶け残ることもあるので、最初だけ楊枝やケーキテスターを突っ込んで、通り道を作ってあげて。
フタがついてる
溶かしたチョコは時間がたって冷えるとまた固まっちゃう…
でも、キャンディライターならフタをして、耐熱容器に入れたお湯の中にドボンとつけておけば、柔らかさがキープできる。
何回もレンチンしてると、だんだんチョコも劣化して溶けづらくなっていくし、湯煎にはフタがあると作業がはかどるのさ♪
冷凍庫で冷やし固める
キャンディライターは室温で固めるのではなく、冷凍庫(氷を作るフリーザー)に入れて冷やし固める。
でもこれは冷凍したい訳じゃなくて、急速にチョコの温度を下げるのが目的なので、固まったら冷凍庫から取り出して…
型の大きさ、深さによって違うけど、だいたい5分、大きくて15分程度で冷えるので、様子をみて引き上げて。
しっかり固まってるとプラスチック型からポロッとはずれます… もしはずれないときは5〜10分追加してみて。
キャンディライターの欠点
良いところもあれば悪いところも… 甘いのよ。キャンディライターは米国製なので、日本人が思っているより随分甘い。
でも、この甘さを活かすも殺すも使い方次第。私の対策はというと…
フルーツと合わせる
フルーツをカバーするときに使うと、苺に練乳をつけるような感じで、甘くないチョコより実は美味しいと思う… これは絶対やってほしい!
ビスケットを使う
クッキーは甘いので、ビスケットに使うとまるでマクビティのような味になるんだよ。レシピはここをcheckしてみて。
薄く作る
不思議なんだけど、厚みによって甘さの印象って大きく変わるの… 薄めのチョコだと甘さが弱まるんで試してみてほしい。
このジンジャーマンチョコレートのように薄めなものはお菓子にものせやすくて…
カップケーキ、チーズケーキ、プリン、パフェなどなど。デコレーションに使うパーツ作りには、キャンディライターがおススメ!
ま、ざっとキャンディライターの魅力をご紹介したので(ちょっと長かったかも、ゴメンね)、やっと本題。
ボンボンショコラの作り方
せっかくなので2色の作り方をご紹介してみるよ。使用するチョコレート型は米国製バラのボンボンショコラ型で…
まず、赤いキャンディライターで薔薇の部分を埋めまして…
キャンディライターを絞り入れたら、型を机にトントンと叩き付ければ、型の隅々にチョコが流れていくんだけど…
表に出ない部分は楊枝などの道具でチョコをのばしてもOK(=外側に出るところを触ると跡が残って汚いからヤメたほうがいいよ)。
絞り入れたら、冷凍庫へ。
次にチョコレート色した茶色を、筆で側面へのばす。チューブから直接絞り入れてもOK。
次は重要…
ボンボンショコラは厚みのあるチョコで、内側に柔らかいガナッシュを詰めないと、硬い凶器のようなカタマリになるので、ここは絶対やって欲しいところ。
1番かんたんなガナッシュの作り方は…
チョコレート2:生クリーム1の割合。チョコレートは細かく刻んでおいて、生クリームをプクプクッと沸き上がる瞬間にレンジを止めたら、チョコを加え、中央からくるくるとスプーンで混ぜると分離する失敗ナシ。
もっと簡単なのは市販のロールケーキを粉砕して詰めるワザ。
これは少し甘くなってしまう欠点はあるけど、これ1個買ってくれば出来ちゃうの… 邪道だけど最強簡単!
粉砕した生地を指でギュッギュと詰めたら、チョコで蓋をします。
完全にチョコで塞ぐために、楊枝などを使ってチョコを伸ばしてみて。
チョコで蓋をしたら、また冷凍庫へ。10分くらいで完全に蓋部分が固まる。
型の凸側からコンコンと叩いたり、デコピンして型からはずすと…
冷たくなったチョコは割れやすいので、タオルなどをクッションにすると安心よ!
キャンディライターを使うと、極論、1粒からボンボンショコラを作ることができちゃうんだよ。凄いでしょっ!!!
割ってみるとこんな感じ…
薔薇の部分を赤いキャンディライターで埋めてしまったけど、ここも薄く伸ばすと、噛みやすいチョコになるよ。
この方法での応用
ボンボンショコラ型は薔薇の他にもいろいろあって、作り方は基本的にみんな同じ。
このヘルメットのチョコレート型は、緑と茶色と白のキャンディライターを混ぜて迷彩柄にしてみた…
筆で、型にポンポンとチョコをのせていくだけ。これも思った以上に簡単!
ちなみに黄色だけだと安全第一なヘルメットになりまーす。笑
お菓子の飾り作りに
キャンディライターはテンパリングがいらず、電子レンジと冷凍庫があれば1粒から型抜きのボンボンショコラを作ることもできちゃいますが…
最初はチョビッとだけ、お菓子のデコレーションパーツ作りに使って試して頂けたらと思います。
例えばこれはスイーツアーティストのHazukiさんから頂いたブラウニーケーキ…
キャンディライターで作った野菜が、ブラウニーに埋めてあって、引っこ抜くと少しチョコがついてたりして… 面白いでしょ?
バナナケーキには、ゴリラのチョコをのせてみたり…
バナナをのせてみるのも面白いよ。
簡単なカップケーキを焼いたら、クリームを絞って、尻尾とウサギ足をキャンディライターで作って飾ってみるのも面白かったし…
アイスクリームに小さめのパーツを飾るのもGOOD。バレンタインで人気の高い、大工道具のチョコをのせても可愛いの♥
チョコの器を作って、クリームを絞り入れるチョコカップもおススメ。
最後に
キャンディライターは米国のチョコレート型製造会社CK products(シーケープロダクツ)が作っているチューブに入ったチョコです。
作業中もチューブ入りなのでチョコでベットベトになることは少ないですし、冷凍庫でパリッと艶やかなチョコが作れるのは大きな魅力の1つだと感じて頂けるはず。
少し甘いですが、薄くて小さく作ったり、苺などのフルーツに合わせて、キャンディライターの使い心地をぜひお試し頂けたらと思います♪